運指考(展覧会の絵 後編)

1ヶ月ぶりですが前回の続き。

前提として、スラーの場合は音が上昇するときは管が短くなる、下降するときは管が長くなると
音の移り変わりが滑らかとなるというアイディアに基づく運指であることを強調しておきます。

もちろん、音の当たり方は楽器によって大いに変わりうるので、これがベストであると断言するつもりはありません。


黒字が(たぶん)普通の運指、赤字が私が採用した運指です。

今回は第5小節目から。
最高音はEsですが最低音が下のBなので比較的音域の広いフレーズですね。

はじめのEsは定石通りB1、続くFもそのままB0で問題なし。
次のCは低い音ですが、通常のB0からF0の運指を使ったスラーは初心者でも難しくないでしょう。
いったんスラーが切れてEs。ここもB1でいいですね。気をつけるのはスラーの切れ目でフレーズが切れないよう、
Cをしっかり伸ばした上でEsの発音もはっきりすることです。
次のFもやはりB0。続くBはB0でいくとリップスラーとなり少しやっかいですが、
Bの音色を考えるとB0しかないでしょう。

さて第6小節目。
初めのFはB0で入ります。ここもスラーが切れてるので、前のBは短くならないようにしたいところ。
次のGはB12でも問題は無いと思いますが、音程が浮ついて気持ち悪かったので僕はB3にしました。
続くEsが問題で、B1でいくと次にリップスラーでオクターブ上がる必要が出てきます(上のEsは問答無用でB1)。
そのためこの下のEsはF1を採用することで、リップスラーを回避。
これくらいのスラー練習しろよ!って感じですが、息の流れとかアンブシュアを考えると
こちらのほうが美しいスラーが実現できるのでこうしました。
その結果、演奏会では失敗しました

次のCは順当にF0。あえてB1にする必要は全くない。たぶん。
BはF1にすることでC→Bのスラーが滑らかになり、Bの音色も落ち着きます。
AsはB1。Bからのスラーがややぎこちなくなりやすいですが練習でカバー。
最後のEsはF1として、2拍目のEsの音程を思い出します。Asからのリップスラーも回避。


というわけで、リップスラー恐れすぎだろって話ですが、やっぱり運指は一番簡単なものを探したほうが精神的にも余裕がでるんじゃないですかね。
それに無理やりでも自分で根拠を見出して研究をしたってことで自信もつくと思います。

もし、仮に、ご覧になってる方で意見などぶつけたいという方がいらっしゃれば、
ぜひともコメントを付けて頂きたい所存でございます。